2007
【ギュス様の書簡4日目】
(非常に達筆な草書体で記されている…)
探索早々襲い掛かってきた畜生どもを軽く叩き伏せる。
遺跡最初の歓迎者が毒蠍とは中々洒落たお出迎えとなったが、所詮は畜生。
毒の扱いも数百年の研鑚によって磨かれた影千家には遠く及ばない。
と言うより、最初から畜生どもなど眼中には無かった。
食前の運動にもならない戦いを済ませ、息も切らせず背後を振り返る。
理由は一つしかない。
『このクソ小娘がッ!!
貴様はこの大事な時に一体何をしておった!!』
探索についてきた厄介者を叱りつける。
まったく持って迷惑な話だが、これはもはや俺様の日課にすらなっていた。
やることなすこと卑猥すぎる、雅も情感も一切含まぬ煩悩の化身。
怒りの矛先である奴は、大して悪びれた風も無くあっけらかんと答えた。
それが俺様の怒りにさらに油を注ぐとわかっていながら。
「何を言っておるのじゃぎゅす。わしも存分に力を振るっておったぞ?
なんじゃ…見てなかったのか。ならば仕方ない、再演料はタダでよいからの。ほれ!」
『要らんッ!
早くその小汚い乳房を仕舞え!!全く風情のかけらも無いな貴様はッ!』
そこから叱りつけること悠々2時間。
疲れて眠りに付いた小娘を外に放り出し、俺様の一日はようやく終わりを迎える。
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どうしてこんな邪魔者が同行することになったか、理由は少し前にさかのぼる。
季節にして春雨の柔らかく降る頃のことだ。
更なる銘茶を求めて諸国漫遊をしておった時、とある場所でふと噂話を耳にした。
なんでも古来から残る村の底なし沼に、夜な夜な娘の妖怪が姿を現わすのだという。
それは村人に危害を加えることは決して無かったが、
見かけた男性が一人残らず骨抜きになって戻ったという事もあり、
村では小さな騒ぎになっていた。
そこに丁度漫遊の旅を続ける俺様が訪れたのだった。
最初は興味本位の延長で話を聞いていたが、
運悪く僧衣を纏っていた為に旅の修験者と間違われ
一晩の宿代がわりに妖怪退治の真似事のようなものをする羽目になった。
最初は面倒過ぎて断ったものの、宿主の懇願と一宿一飯の礼に応える義理もあった為
仕方なく引き受け、適当に形ばかりの儀礼を済ませて帰る算段であった。
妖怪話など、所詮人の好奇心と恐怖が紡ぎあげた幻想に過ぎない。
適当な儀式でも見せ付けてやれば不安の衣なぞ容易に剥がれるものだ。
村のものを呼びつけると思いつくままに適当な説法を説き、
大袈裟な祭壇を組み、用意させた絢爛な衣装を身に纏い、
清めの一服と称して甘茶をこぼす。
歌舞伎役者も裸足で逃げ出す上々の芝居と、村人全てを信じ込ませるには充分な演出。
それで全てが解決する脚本。
事実、俺様の予想通り怪奇現象はその日からぱったりと止んだという。
喜んだ村人からは馳走と金一封を受け取り、これにて一件落着、千秋楽に終わる美談。
全ては台本どおりに進んでいたはずであった。
だが。
何の因果か、俺様はとんでもないオマケを受け取ってしまっていたらしい。
その晩からだ。
俺様の寝所に夜な夜な小娘が出入りするようになったのは。
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衣擦れの音が耳元で五月蝿いほどに響く。
…そろそろ頃合だろう。
既に音の主はわかっていた。考える必要すらない。
顔を上げれば目前には予想通りの客人が一つ。
これが朝の目覚まし代わりになってしまうとは、当時は思いも寄らなかったことである。
怒り感情が鉄瓶よりも容易く沸点に到達する。
『だから何度言ったら貴様は理解するのだッ!!』
用意してあった特製の苦茶を躊躇うことなくぶちまけた。
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身長:170cmは確実に。
体重:永遠のヒミツです★
体型:胸元には自信アリ!
趣味:萌えたりキューンってなったり。
特技:一気に駄文を打てること?
好きな食品:
オハヨーマンゴーヨーグルト。
苦手な食品:
酢昆布。
好きなもの:
キューンとするもの。
嫌いなもの:
キューンとしないもの。
性格:見たままです!
口癖:無いと思いますけどー。
仕事:某有名コスメサロン勤務。
副業:茶坊主の行動監視。
坊主:千利仇 末永
あんまり相手にしない方がいいですよ。
すぐに怒り出す茶道の達人らしいです。
どうしてこの人が私の先生と知り合いなのか謎…